MVVとはミッション、ビジョン、バリューの略で使われます。新たに法人を設立し、ウィル訪問看護ステーションを開設する時にまず代表としたことは、訪問看護ステーションの理念を作ることでした。大手町のレンタルオフィスでホワイトボードを使い色々と意見を出し合った時が懐かしいです。
求人票ではなく、看護の理念を共感軸にする
訪問看護ステーションのこれまでの一般的な採用では、給与や勤務地、勤務時間などの「求人票」に記載されている内容で求職者を惹きつけようとしてきました。しかし、最近は「理念」に共感してもらい働いてもらう時代になりました。そのため求職者を魅了する理念が必要になります。
新設の事業所以外はどうすれば良いのか?という質問を講演の場などでよく頂きます。既に理念があるけどうまく採用活動に活かされていない場合は、新たに作るのではなく、その伝え方や解釈を考えなおすことをお勧めしています。法人理念が抽象的すぎる場合は、訪問看護事業や看護部の理念という形で作り直してもいいかもしれません。
理念を作る、考え直す上で一番大事なことは「自分たちの言葉」であることです。社会保障の一部である訪問看護という事業の特性上、オンリーワンの個性などを持つ事業所は少ないかもしれません。しかし理念に共感してもらい採用するためには、しっかりと「自分たちの言葉」で訪問看護事業を行う理由や、訪問看護で解決したい未来について語る必要があります。
最近、似たような(というよりパクってる)理念やキャッチコピーを見かけます。怒りなどはないのですが、訪問看護で働きたい求職者は意外と周辺の事業所について調べているものですし、パクった場合はGoogleなどからペナルティを受けるなどのデメリットもあるので辞めるようにしましょう。しっかりと自分たちが納得いく言葉を作ることをお勧めします。
ウィル訪問看護ステーションの理念(MVA)とは?
ウィル訪問看護ステーションには、ミッション・アクション・バリュー(MAV)が定められています。ミッションは「全ての人に 家に帰る 選択肢を」です。このミッションを達成するための活動として3つのアクションが、そのアクションを担うスタッフが発揮すべき価値としてバリューが3つ定められています。
アクションやバリューは秘密、、、ではないのですが長くなるので割愛します。ウィル訪問看護ステーションでは見学にお越しくださった際に、事業説明としてウィル訪問看護ステーションのミッション・アクション・バリューや、それに至る社会背景などについて毎回お話をしています。就職希望者以外にも見学は受け付けています。また事業開設を検討している方に対しては研修として対応しています(一部有料)。是非お気軽にお越しください。
理念採用のメリットやデメリット、注意点について
理念で採用することは、スタッフの判断や行動の軸が、経営者や管理者の属人的なものではなくチームやコミュニティの理念や行動規範になるため、拡大を目指す事業所にとって、とても有意義なことだと思います。
細かな点でいうと、スタッフのやりがいは給与や昇給ではなく理念実現に向けて近づいているかになります。
スタッフの行動は、上司や個人の看護観などの属人的なものではなく、組織の行動指針や規範によってに、
スタッフの評価は、上司の属人的なものではなく、組織の指標など一般的に、
退職の理由は、経営者や管理者と合わないではなく、法人の理念と合わないからになります。
これらは人材の定着や拡大に苦労してきた経営者や管理者にとっては、目指していたものや理想の形に近いのではないでしょうか?
ただし、デメリットや注意すべきこともあります。
デメリットの1つとしては即効性がないことです。求人票で周囲に差をつけ有料職業紹介や広告を使う方が即効性があると思います。また、理念に共感しているからといって給与が低かったり、福利厚生が全くないなどではいくら素敵な理念があっても採用には至りません。共感のまえに労働環境などの安心・安全の確保が重要です。
運用にも注意が必要だなと思います。私も含めた先輩の看護師はむしろ理念ではなく、求人票の価値観で働いてきました。そのため咄嗟の発現で「給与や手当は払っているんだから」とか「福利厚生やルールはこうだから」となってしまうことがあります。実は管理者や先輩のスタッフほど理念で働くという価値観に自分自身を変えていくことは難しいのかもしれません。
デメリットや注意すべきことを意識しながら、一緒に求職者に共感してもらえるような理念やその伝え方を考えてみましょう!