訪問看護ステーションを開設しようと思っても、訪問看護の臨床の経験しかなく実際に開設したことがない、経営に関して不安がある等の悩みを解決してくれるサービスとして、開業支援やフランチャイズの仕組みがあります。
流通におけるフランチャイズ(英:franchise、franchising)とは、事業形態(ビジネスモデル)のひとつ。
一方が自己の商号・商標などを使用する権利、自己の開発した商品(サービスを含む)を提供する権利、営業上のノウハウなど(これらを総称してフランチャイズパッケージと呼ぶ)を提供し、これにより自己と同一のイメージ(ブランド)で営業を行わせ、他方が、これに対して対価(ロイヤルティー)を支払う約束によって成り立つ事業契約である。
wikipedia
今回は訪問看護の開業支援やフランチャイズの仕組みを提供している法人をまとめました。
調べたところ、正直もっとサービスを提供している法人や事業所はあったのですが実績不明なところや怪しいものも多く掲載に至らないものも多くありました。
また、私自身はフランチャイズ肯定派でも否定派でもありません。開業の目的に対する手段としてフランチャイズを選ぶこともアリだと思います。(私が単独ではなくフランチャイズを選んだ理由は以下です、ご参考までにどうぞ。)
実際に訪問看護の臨床や管理者などのヨコの繋がりのなかで、訪問看護のフランチャイズに対する悪い噂も多く耳にします。その一部は当初の誘い文句と異なること、その中でもよく耳にするのは「採用、営業の具体的な支援が全くない」、「ロイヤリティーが高く営業利益が乖離する」が多いように思います。
どちらにせよ、あくまで単独での事業所開設も、外部の開業支援やフランチャイズに頼ることも方略の1つでしかないので、まずその目的が明確であることが重要で、次にその手段が適切かを踏まえ、検討するようにしましょう。
以下開業支援、フランチャイズのまとめです。網羅しているわけではないので、掲載されていなくて「載せてほしい」という方は一緒に訪問看護を広げていく仲間だと思っているので遠慮なくお声かけください
自社サービスを掲載しないのは気まずいのでまずはウィル訪問看護ステーションを。
ウィル訪問看護ステーションの特徴は「開業支援」ではなく「運営支援」に特化している点です。また以下のようにオリジナルなコンテンツが豊富にあるのも強みです。
- 「看護は地産地消」をキーワードに、他業種参入ではなく地元の看護師の独立を支援している。(そのため加盟料は無料、ロイヤリティーも安価なことも魅力)
- 自社サイト、オウンドメディア、各種SNSを用いた採用広報に強み
- 各種CN/CNS等の専門家による相談支援チームがいる
- 「訪問看護ポケットブック」の販売、学研と協働開発したEラーニングなど教育コンテンツ
- 初期研修だけではなく各診療科のEラーニング、管理者研修や経営・管理会議などの継続教育コンテンツ
- 自社開発の電子カルテ「ウィルクラウド」を用い「オマハシステム」の運用
あまり自社の欠点を伝えるのもどうかと思いますが、、、。
私が思うウィルのフランチャイズの欠点は「電子カルテやチャット等のシステムは指定のものを導入」せねばならず、加盟料やロイヤリティーは安価ですが、初期投資にやや費用がかかります。中~大規模事業所にする想定であれば最終的には安価です。しかし小規模(例えば3人)事業所を想定している場合にはお勧めできません。
また良くも悪くも「全ての人に家に帰る選択肢を」のブランドイメージが先行しているので、精神科や小児の特化型の事業運営も加盟は可能ですが、地域の方への理解を得る活動などが追加で必要となる点が欠点です。
先述でご紹介したように、私自身は訪問看護を開設した経験があってもフランチャイズという選択師をとりました。以下にご紹介する開業支援やフランチャイズと併せて見比べて頂けたら嬉しいです。ウィルにご興味ご関心のある方はいつでもお声かけください。(おそらく私が対応すると思います。)
電子カルテで有名なカイポケさんも開業支援を提供しています。
カイポケの電子カルテは開設初期の事業所に人気が高い印象があり、多くの事業所の開設を伴走した経験が豊富にあることが強みなのだと思います。
また多種多様なサービスを持っていることも強みです。電子カルテだけでなく、人材紹介、ファクタリングサービスなど多様なサービスを展開しているのできっとこれらサービスを円滑に導入支援してくれるだけではなく、例えば人材紹介を運営しているため、採用に効く求人票など豊富に事業運営のナレッジがあるであろうことも心強い印象があります。
支援する担当者の経験や知識なども重要ですが、私個人の印象としてカイポケを運営するSMS社の経営コンサルの方はかなり優秀な印象があります。なかなかサイトでは見えづらい点ですが、かなり強みだと思います。
ファミリーナースは最近、各SNSなどで広告を目にする機会も多く勢いを感じます。精神科に特化した訪問看護ステーションのフランチャイズ事業を展開しているようです。私自身はまだ臨床でご一緒したことはないですが、きっと事業所も増えているのではないでしょうか。
- ① 精神科訪問看護に特化している
- ② すでにアニスピホールディングスで展開している障害者グループホームに訪問看護サービスを提供できる
- ③ 同様に、すでに展開している障害者グループホームとの医療連携が可能
以上のように特徴を挙げています。障害者グループホームがあるからこそ、投資回収が早いであろうことが強みの1つなようです。サイトに記載されている精神科訪問看護の必要性なども共感します。
一方で最近の精神科訪問看護ステーションの利益率の高さ(複数名訪問や短時間訪問の常態化、囲いこみなど)に対しては業界全体が注視している印象もあるので、そういった点を考慮してもその高い利益性やROIを保てるのかが、個人的に興味があります。
神奈川県を中心に訪問看護やデイ、訪問診療などを提供する「楓の風」も訪問看護のフランチャイズを提供しています。もともと経営陣が臨床と経営のバランスが良く、力強く地域に根を生やし、質高いサービス展開をしている印象の法人です。その楓の風がフランチャイズを始めるニュースを目にした時、意外だったのでかなり驚きました。
参考:週刊高齢者住宅新聞Onⅼine「楓の風が訪看フランチャイズ開始」
参考:PRTIMES「在宅看取り難民ゼロを目指して、看取り特化型の訪問看護フランチャイズ事業を開始」
看取り特化型の訪問看護と、特徴が明確であることに好印象です。
一方、医療保険適応の疾患のうち「がん末期」などの看取りは他の疾患にくらべて利用期間が短くなるので、新規利用者が一定数くる仕組みを確保しないといけないことや、中山間地域など地方によってが訪問診療などの医療体制により自宅死が難しい環境もあるため開設地域などは慎重に検討する方が良いのかなと思います。
ネガティブな点も書きたいのですが、正直なかなか見当たりません。訪問看護の経営のボトルネックになりがちな「採用、営業、教育」に対しての具体的な支援詳細が不明な点くらいでしょうか。でも、これまで自社で展開してきたことそのものに信頼性があり魅力的です。
茨城県土浦の「精神特化型訪問看護ステーションharu style」もFC加盟店を募集しているようです。ファミリーナースくらいの大規模ではないものの、グループホームを運営している点も似ています。
企業概要には、その運営の歴史の中で実際にフランチャイズが展開されていることも知ることができ信頼できますね。
ただ訪問看護での相場そのものが分かりませんが、加盟料やロイヤリティがやや高めに見えます。「安心のフルサポート」の詳細が他社サービスと比較してその独自性や強みが不明瞭なので、実際に検討する際はその費用対効果など加味し検討すると良いのではないかと思います。
私のなかで訪問看護のフランチャイズといえば「ケアーズ訪問看護」となるくらい、フランチャイズ事業所は多く、その歴史も長いです。訪問看護以外にも様々なフランチャイズ事業を展開していることも特徴的です。
正直、結構批判も耳にするのですが、多くの事業所を開設していれば上手くいかないところもあるのかなと思いますし、私個人はケアーズが悪いというより、そもそもフランチャイジー側の理解が足らなかったのではないか?と思うことも多々あります。本部(フランチャイザー)が助言はしても、動くのはオーナーは自社スタッフです。
ただ、実績が沢山あるであろうケアーズですが、ウェブサイトや各種LPからは支援は記載されていますが、その独自性やコンテンツまでは見えないので、しっかりと見比べることが大事そうです。
電子カルテで有名なiBowも開業支援をしているみたいです。結構、ニーズもあるんでしょうか。
フランチャイズや運営支援ではなく「開業支援」と割り切っている点も好印象です。更に毎月30社限定ですが価格が無料って点も嬉しいです。
新規開設事業所でiBowを使うことを決めているなら申し込まない手はないような気がします。開業支援があるからiBowにする、だと事業所運営上手くいかないのでは?と思いますが、それは開設者に問題があって、コチラのサービスが悪いわけではないので、、、っていうくらい悪い点が思いつきません。
就労継続支援B型の事業をしている株式会社MYTHさんもフランチャイズ事業をしています。
「障がい者施設向け医療連携加算」に特化した訪問看護事業所を支援している、と特徴が明確な点が面白いなと思いました。面白いなとは思いつつ、あくまで加算なのでフランチャイズにならなくても良いのでは?とも思いました。
なかなか上記以外の特徴などが見えづらいですが、興味深いですね。
以下は、実際に訪問看護事業所を自ら運営しながら、フランチャイズとしてそのノウハウなどを提供しているようです。
オリジナルな言葉を用いているサービスもありますが、他社との違いが分かりづらく、自ステーションの実績以外の独自性がサイトからは見えづらいのでコメントは割愛します。
実際に話しを聴いて見極めることが大事ですね。
訪問看護は「看護」という無形なサービスを提供しているため、コンビニのようにオリジナル商品をフランチャイジーに提供することが難しい業種です。そのため各社「独自性」を謳ってはいますが、他社との違いはイマイチ見えないので実際に話しを聴いてみることが重要だと感じました。フランチャイズを提供する事業所は、これまで各地域で訪問看護事業所を展開した実績を持っているところも多いのですが、フランチャイズであっても再現性があるのか検討すると良いと思います。
また今回、訪問看護師でもある私がフランチャイズのサイトを沢山みて、違和感みたいなものを感じたことも事実です。
「訪問看護はストックビジネスである」⇒軽快終了させる気がない?入院や死亡終了の多い重度を看る気がない?
「自社グループホームや住宅、訪問介護介護などの利用者がいるので収益化が早い」⇒囲い込みを推奨している?
その他にもおそらく介護と看護を混同しているようなものもありました。
高い加盟料やフランチャイジーを支払うのは、訪問看護事業に自信がなかったり、知識が乏しいなどもがあるのかと思いますがそういった方が、自身にあったサービスを見極めれるかが大事な気がします。
どちらにせよ、訪問看護がもっと広がるためにフランチャイズも開業支援も、必要な人に届くと良いですね。