働きやすい訪問看護ステーションを見極める5つのポイント

以前、Twitterでこんな投稿をしたところリプやDMで「その理由が聴きたい」などのコメントを多く頂いたので、ブログにまとめておこうと思います。

[prpsay img=”http://minoru-ochiai.hungry.jp/wp-content/uploads/2019/02/arms-folded-question-nurse.png” name=”看護師さん”]訪問看護ステーションに転職をしたいけど、自分なんかが働けるのか不安。どうやって働きやすい訪問看護ステーションを見つけたら良いんだろう?[/prpsay]

この記事はこのような人に向けて書いています。

働きやすい訪問看護ステーションを見極める5つのポイントとその理由

色々な見方や意見があるとは思いますが、私が訪問看護ステーションに見学や面談で行った場合にみるポイントは下記の5つです。

  • 医療/介護保険の利用者割合
  • 24時間と土日祝日体制
  • 緊急出動割合
  • 常勤/非常勤割合
  • Ns/POST割合

※あくまで個人的な意見です。全ての事業所に当てはまるわけではありません。
※例えば立ち上げ間もない事業所などは対象にはしていません。
立ち上げ間もない事業所や変革期にある事業所は、上記ポイントではなく管理者や経営者の想い、これまでの実績で判断するしかないのかなと思います。

それでは各項目の理由を1つずつ解説していきます。

①医療保険/介護保険の利用者割合

精神科や小児科に特化した訪問看護ステーションの場合、利用者のほとんどは医療保険で訪問しているなど、事業所の方針や理念などでも異なるため、利用者の割合いを明確に何割ずつが良いかと示すことはできません。

しかし下記に医療保険と介護保険の訪問の違いをザックリと記載してみました。

医療保険介護保険
重症度高い低い
訪問頻度高い低い
ケア内容医療管理や行為が多い日常生活の支援など
期間短い長い
利益/件高い低い

介護保険がほとんどの場合は、その理由を聴いてみる

利用者のほとんどが介護保険の事業所の場合は注意が必要だと思います。
「重症患者が少なく楽なのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、医療と介護だと医療保険での訪問の方が単価が高くなりがちなため、介護保険ばかりだと売り上げが小さくなる可能性もあり、訪問件数はあるけど儲かっていない事業所である可能性があります。

私が一番気にするのは、介護保険ばかりの事業所の中には「地域から信頼されていない」可能性があることです。「リハビリがメインの訪問看護事業だから」など明確な理由のある事業所もありますが、利用者の医療依存度は高まってきている中、介護保険の利用者がほとんどの場合は、一度その理由を聴いてみると良いかもしれません。

②24時間と土日祝日体制があるか

訪問看護に転職したい方のキャリア相談を受ける場合は「オンコール」の体制について相談を度々受けます。皆さん、オンコール対応に不安を持つ方が多いです。

私は特別な理由がない限り、オンコール対応をしない事業所をお勧めはしません。オンコール体制をもたず、土日祝日対応を全くしない事業所は看護がアセスメント通りに提供できなくなり、看護診断や看護師のアセスメントから導きだされた計画が患者ではなく事業所都合を理由に提供できなくなります。
結果として質が下がり、臨時訪問や入院が増え、看護師が疲弊する可能性もあります。

連日や複数回などの訪問が必要な利用者を受け入れないということも出来ますが、それだとアセスメントだけではなく、利益を出すことに苦労しそうな印象です。

③緊急出動割合

オンコールが不安な方も沢山いる原因には、オンコールが鳴った時に適切な対応が出来るのか?などご自身の対応に不安な方が多いですが、
僕が訪問看護師になる前に情報収集していた時は、稀に下のような看護師さんにお会いすることがありました。

[prpsay img=”http://minoru-ochiai.hungry.jp/wp-content/uploads/2019/02/the-sigh-depressed-nurse.png” name=”訪問看護師さん”]在宅っていうのは患者さんは一人で不安だし、家族がいても介護はしたことないでしょ?医療資源も不足しているから、緊急コールは沢山鳴るものよ。昨日も一昨日も、、、、、。でも、それでも私たちが頑張れば本人も家族も喜んでくれるから続けられるわ。[/prpsay]

訪問看護で実際に働いてみると、
「適切な看護が出来ていれば意外と緊急で出動することは少ない」
ということを実感します。

ただ、最初訪問看護師になりたての時「予測できたことだから事前に主治医に指示をもらっていれば良かった」とか、「ちゃんと利用者家族に対応を伝えておけば良かった」と思う事が多かったですが、自身や組織が都度振り返りをし、質が高くなれば自然と出動は減っていきました。

つまり緊急出動割合が重要な理由は、割合が多いと「組織の看護の質が低い可能性」があるので注意です。また全く鳴らないというのも稀に「鳴っても対応しない」「電話に出ても出動してくれなかった」など不誠実な対応があった話を聴いたことがあるので注意した方が良いかもしれません。

緊急コールは鳴りますし、鳴ったら適切に対応すべきです。
ただ、ちゃんと看護が出来ていればその回数は減りますし、予測も可能です。

④常勤/非常勤割合

常勤と非常勤の割合も気をつけているポイントの1つです。非常勤は経営者にとっては「売り上げに応じて報酬を支払えば良い」ので好まれる場合もありますが、非常勤の割合が極端に多いと、常勤に業務のしわ寄せが行くこともあります。
また非常勤で働くスタッフにとっても常勤が少ないと訪問以外の業務が増えたり、契約や緊急対応まで任されてしまい望んだ働き方になっていないスタッフに出会う事もあります。

なかなかない事例だと思いますが、私の友人(20代後半、女性、訪問看護未経験)が訪問看護に就職した際、紹介会社からは「スタッフが10人以上いる大規模なステーション」と紹介を受け、先輩が多くいることは自分の学びにもなると働くことになったのですが、就職してみると常勤は管理者と友人の2人のみで、10名以上の非常勤を抱えていたのでう。しかも管理者の退職が決まっていたため、友人は訪問看護未経験にも関わらず管理者になってしまいました。

こんな事は稀ですが、非常勤ばかりの事業所は注意が必要だと思います。

⑤Ns/POST割合

最近はNs/POST職の割合も気になるようになりました。それまで看護師が常勤換算(2.5人)ギリギリで、リハビリ系専門職が沢山いるステーションが増えていましたが、最近はその勢いがやや落ち着いてきています。

主な理由は2つです。
1、医療依存度の高い利用者に一体的なサービスを提供できない
訪問看護を利用する方の医療依存度は年々上昇しています。それに伴いリハビリも軽度なものではなく終末期や神経難病など重度な方へのリハビリニーズが高まってきていますが、リハだけでなく医療的ケアの対応も求められるので、看護師数が少ないと受け入れができなくなってしまいます。

2、看護師も定期的な訪問が必要になった。
リハビリ専門職が定期的に訪問するだけではなく、看護師職も併せて定期的な訪問が必要になりました。これにより看護師とリハ職の人数が大きく離れている事業所ほど、看護師の人数都合でリハビリの訪問を受け入れることが出来なくなったり、看護師がリハの定期訪問に追われ訪問単価が下がる事業所などが一部見受けられるようになりました。

リハビリ系訪問看護ステーションは緊急対応が少ないからと安易に就職すると上記のような理由で、訪問件数は増えるのに売り上げが少ない、医療依存度高い利用者に対応できないので新規受け入れができないなどとなる場合を見かけることがあります。

まとめ

私が働きやすい訪問看護ステーションかどうかを見極める時のポイントを5つ紹介しました。このポイントに当てはまる数が多い事業所ほど、「働かない方が良い」のではなく、見学や面談時に注意深く見た方が良いのだと思います。
事業所の特徴や理念によっては、働きやすい事業所であるにも関わらず、敢えてポイントに該当するような状況になっている場合もあると思います。

大切なことは「良い事業所」ではなく「あなたにマッチする事業所」を探す事です。

色々不安もあるとは思いますが、ご自身の目で実際に事業所の雰囲気や働く人の話を聴いてみることが一番です。
今回のポイントが皆さんが訪問看護で働こうとするときに何かしらお役に立ってると嬉しいです。